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現役医師が暮らしを豊かにする知識やモノを紹介します。医者や医療の実情も時々語ります。

インフルエンザで病院に行く必要はないし、薬もいらない

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 インフルエンザがぼちぼち増えてきましたね。

 

病院に行った方が良いのかな?

高齢者の死亡ニュースもあったりして怖いな...

ワクチン打とうか迷うんだけど...

新しいゾフルーザっていう薬が出たって聞いたんだけどどうなの?

 

こういった疑問に答えていきますよ。

 

 

インフルエンザはそもそも流行しやすい風邪のことです

インフルエンザはウイルスの名前からそう呼ばれていますが、昔の呼び名を知っていますか?

「流行性感冒」です。

感冒って風邪のことですから、流行りやすい風邪ということ。

 

高齢者の方などの死亡例を取り上げてインフルエンザが怖いものという刷り込みをメディアがしているせいで誤解が多いですが、ただの風邪ですよ。

 

テレビとか「何言ってんだ?」って感じの情報流してることも多々ありますから、あてにしすぎないように。

スプーンを目に擦ったら目が良くなるとか言い始めた時は引きました。

それはともかく。

 

合併症は確かに怖い。

かかった後に細菌性の肺炎や副鼻腔炎になる人も。

しかしこれはリスクの高い人しかほとんど起こらないですし、もともと元気な方なら重症化はしにくいのであまり関係ありません。

 

インフルエンザっぽいなと思うなら病院へは行かなくていいです

インフルエンザは元気な人は勝手に治るので病院へは行く必要ありません。

救急外来とかは来ないでください。

インフルエンザは若くて元気な人にとっては全然救急疾患じゃないので。

 

会社休むのに診断書がいるんだっていう人は仕方ないので近くの開業医へ。

ただそうすると不要な検査や薬を出されるリスクも高まるのがネック。

 

インフルで病院に行くべき人たちもいる

中には病院に言った方がいい人もいます。

アメリカにCDCという感染症の世界的に有名な機関がありまして、インフルエンザで合併症のリスクが高い方たちのことを言及されています。

 

www.cdc.gov

 

・65歳以上の高齢者

・5歳未満の小児(特に2歳未満)

・妊婦さんと産後2週間以内の方

・心臓病や糖尿病などの重度の全身疾患がある方

 

これに当てはまる方は病院受診を考えましょう。

しかしインフルエンザっぽいけど元気だよ、というのであれば必ずしも病院を受診する必要はありません。

 

例えばあなたに4歳のお子さんがいて、周りにインフルエンザと言われている子どもがいました。

昨日その子と遊んでいて、今日鼻水が出てきて熱を測ると39度。

しかしご飯を食べたりお水を飲んだりはしっかり出来ていて、ぐったりしているという印象はない。

 

こんな状況では病院受診しなくても大丈夫なことがほとんどです。

元気がない、飲食出来ないというのが子どもの場合は一番大事なサインですね。

 

全く当てはまらない方は基本的に病院受診は必須ではありません。

めちゃくちゃしんどい、という場合を除いては家でゆっくり休む方が賢明です。

インフルエンザの検査をしてください!は迷惑なだけ

検査を希望して病院に来られる方って非常に多いです。

正直検査する意味ってほとんどないので、私が働いている病院含め、まともな病院では特別な場合を除いて基本的に検査はしません。

 

陽性になる確率半分くらいですよ?

コイントスと一緒じゃん。

 

痛いしお金も取られるしやる意味全くありません。

陽性ならほぼインフルエンザで確定しますが。

 

検査をする特別な場合、というのは海外から帰ってきた際の発熱だったり、高齢者、妊婦さんの発熱などの場合ですね。

インフルエンザが陽性になったら他の病気の可能性を除外できるぞという場合などにはやります。

 

まあ検査陰性でも妊婦さんとか疑わしければ治療しますので、結局検査ってほとんど役立たずです。

元気な若者に向かって検査しましょうとか勧めてくる病院がいたら信用ならないので、私なら次からもう行かないです。

ワクチンは薬よりもよっぽど有効

・生後6ヶ月〜59ヶ月(5歳)までのちびっこ

・50歳以上

・妊婦さんもしくはシーズン中に妊娠予定のある方

・医療従事者

・免疫力が落ちている方(透析しているとか重度の糖尿病があるなど)

このような方はぜひ打ちましょうということになっています。

 

ワクチンはインフルエンザにかかりにくくなるだけでなく、発症しても重症化しにくくなるのでご高齢のご家族さんなどには打ってもらうようにしましょう。

 

特に妊婦さんや妊娠予定の方は是非とも打ってくださいね。

 

ワクチンで病院受診、仕事の病欠、高齢者の死亡がいずれも、打ってない場合と比べて40%以上減ることがわかっています。

私も医師ですから毎年打ってますが、確かにかかった時の症状は軽いかな。

あー多分インフルだわくらいの感じで終わります。

 

元気で健康な方でも心配であれば打ったら良いと思います。

受験を控えている、海外旅行の予定があるなどあれば特にね。

 

インフルエンザにかかって焦って病院行くくらいならワクチン打っておいて、かかったとしても家でゆっくり寝てる方がはるかに良いですよ。

 

とはいえ自費かつ元気なのに病院に行くのは面倒なんですよね。

無理して打つ必要はないので結局行かなくても良いんですが。

インフルエンザに薬は必要ありません

上に挙げたような合併症のリスクが高い方や、症状が重度である方には抗インフルエンザ薬は必要です。

しかし元気な方には正直薬は必要ありません。

強いて飲むならタミフルがオススメ

タミフルリレンザ、イナビル、ラピアクタなど色々ありますがやはり今の抗インフルエンザ薬のメインはタミフルです。

 

タミフルは16.8時間だけ症状のある期間を短縮させるという論文があります。

ちなみにリレンザも14.4時間ほど症状を短縮させることが出来ます。

あとはどちらも予防投与で症状を軽減させます。

 

ただまあ効果はそんなもんです。

ここぞという時なら飲んでもいいかもな、くらいにしか思いませんね私は。

イナビルは効果ないので要注意

正確にいうと"効果があると証明できずに研究が途中で終わってしまった"という感じですね。

 

新しい薬を使い始める前には治験というものがあって、色々試験をしていくのですが、イナビルはプラセボ(偽薬、要は砂糖水みたいなもんです)と比べて全く効果に差がなかったんですよ。

それで治験が途中で終了して、海外では開発が中断されました。

 

砂糖水と一緒ですよ。

なんでそんな薬がこんなに流行ってるんだか...

ゾフルーザも特に有効な薬ではありません

またメディアがワーワー持ち上げてますが、何考えてるんですかね。

新薬が!とか言えば話題になるんでしょうけども。

 

1回飲むだけで効く新薬だよっていうのがウリですが、効果自体はタミフルと一緒。

しかもゾフルーザの研究は元気な人たちに対して投与した場合限定のお話。

上でも言いましたがそもそも元気な人たちは薬の投与要りませんから。

 

健康な若い方の場合、基本的に薬は不要です。

重症な方の場合、ゾフルーザに重症患者に対する実績は何もないので、タミフルやラピアクタの方を選択します。

つまり使う場面がありません。

 

しかも、ゾフルーザは治療した10%程度(小児は20%以上)はウイルスに遺伝子変異が起こり症状が余計長引くので、ハイリスクなお薬ですよ意外と。

値段も倍近くというボッタクリ。

それならタミフル飲むわ。

まとめ 

しんどいのにわざわざ病院を受診するのキツくないですか?

しかも連れてきてくれた人も、病人に囲まれて感染するなんてことになりますし。

 

私は自分がインフルエンザだと思った時には病院受診しませんし、薬も飲みません。 

インフルと思ったら家でゆっくり寝ること。

 

かからず春を迎えられたら最高ですね。