医者の一日 忙しい科の勤務医はこんな感じ
比較的忙しめな急性期病院(地域の大きな病院と思って下さい)での勤務医の生活を紹介しようと思います。
研修医の頃は色々な科を回ったので、そこでの体験をもとに比較的忙しい科とゆったりした科に分けてご紹介。
今回は忙しい病院の忙しい科の一日です。
忙しい科の医者の一日はこんな感じ
忙しい科といえば、内科なら循環器内科(主に心臓のお医者さん)や消化器内科(胃や腸、肝臓などのお医者さん)、あとは消化器外科や心臓血管外科などですね。
6:30 出勤
出勤したらカルテをチェックし、患者さんに昨日との変化がないかだったり今日やるべき検査のオーダーがきちんとされているかを見ます。
そしてざっと担当の患者さんの様子を見に行きます。
採血結果などはこの時間はまだ出ていませんね。
7:30や8:00- カンファレンス
毎日行う夜間の新入院患者さんについてのカンファレンス、曜日ごとの色々な種類のカンファレンスがあります。
治療方針や術前の評価を科全体の医者でチェックするやつですね。
勉強会もこのくらいの時間に行う場合や夜にやる場合もあります。
最新の論文を紹介するような抄読会形式が多いかな。
9:00-18:00 手術やカテーテル、胃カメラなどの検査
忙しい日には18時くらいまでみっちり手術や検査が入っていることもあります。
1つ1つは短くても4件、5件とあったり、1つが9時間くらいの大手術があったりとなかなか忙しいです。
昼食の時間は取れないことも多いですね。
ちなみに基本的に10時間を超えるような手術でも、術者が交代することは日本では少なくて、終わるまでずっといます。
その場合は休憩時間はもちろんなくて、ご飯やトイレにすら行けません。
アドレナリンが出るからか意外とトイレに行きたくなることはあんまりないのですが。
食べれる暇がある日ならばサッと昼食をとります。
食堂やコンビニ弁当の人がほとんど。院外に出て食べに行く、というのはまずあり得ません。
18:00-21:00 回診やカルテ記載、勉強会
昼食が食べられなかった場合は手術や検査が一通り終わった後に。
その後担当の患者さんに状態の変化がないか、診察したり日中にオーダーしていた超音波やCTの検査を確認したりします。
終日 :日中は鬼のように電話がかかってくる
医者はみんなPHSを持っています。
院内限定の携帯電話ですね(家でも繋がる恐ろしいシステムの病院もありますが...)。
みなさんも医者にかかってきているところを見たことあると思います。
これかかってくる件数すごいですよ。
看護師さんから:「あの薬の処方が明日で切れるけどどうしますか?」、「患者さんのご家族が来たのでICして下さい。」、「急変です!いますぐ来て下さい。」
研修医から:「この患者さんの検査の予定どうしたらいいですか?」、「担当患者さんが胸が痛いって言ってるんですけど...」
救急外来から:「〇〇歳男性の急性虫垂炎で手術をお願いしたいのですが...」
上級医から:「来週の勉強会の担当よろしくね」
...などなど色んなところからかかってきまくります。
+α 勉強会や学会発表の準備、オペの予習、勉強
以上に加えて勉強会や学会で発表することになっていればスライドを作る必要があり、明日オペがあるならその手順の予習も必要です。
さらには日々新しい知見が登場しますし、経験が浅いうちは担当したことのない症例もよく出くわすので毎日勉強が必要です。
そしてやっと帰宅し就寝、また一日が始まるということですね。
...さらに当直が加わる
以上で普通の一日は終了ですが、週に1-2回程度は17時頃から朝まで当直が当たります。
夜通し病棟での急変対応+救急で来院した患者さんの対応をするというもの。
患者さんが全然来なくて、急変もしなければ全く呼ばれず眠れます。
ただこんな忙しい病院ではそんなことはまずありませんから、大抵そんなに眠れません。
明け方3時だろうが電話で叩き起こされます。
病院や科によっては当直が終わったら朝〜昼で家に帰っていいよというところもあります。
帰れる雰囲気でないところもあり、その場合そのまままた一日が始まることになります。
7時から翌日の21時まで、つまり38時間くらい連続で労働...。
労働基準法とは一体...
書いていて明らかにこんな生活は大変すぎておかしいと思いますが、実際こんな風に働いている医者が結構います。
しかも労基に通報されるから時間外をつけるな!と言われて時間外を過少申告して給料も大してもらえないということもしばしば。
あくまで参考ですが、忙しめな病院の忙しい科だと本当にこんな感じです。
「全然担当医は会いに来てくれないし、来ても5分くらいだ!」と不満に思う入院患者さんの気持ちもすごく分かりますが、こんな生活だと行きたくても会いに行けないんですよね。
少なくとも例えで挙げた病院の医者はみんなそれでも一生懸命に診療に当たっていたので、誤解しないでもらえると嬉しいです。
次回は忙しめな病院の少しゆるい科の一日を紹介しましょう。