ブログ名変えます

現役医師が暮らしを豊かにする知識やモノを紹介します。医者や医療の実情も時々語ります。

抗生物質と培養の検査

抗生物質のお話最終回です。

ちょっと内容が詳しくなり過ぎてしまうかもしれません。
 
 

正しく抗生物質を処方してもらうだけではダメ!

しっかり診察してもらって適切な抗生物質を処方してもらったからもう安心、ともいかない場合があります。
 
基本的に抗生物質は多分これなら効くはずや!という想定のもと処方するので、100%効くかと言われると怪しいんです。
処方する時点では原因の菌自体を見つけているわけではないので。
 

そこで登場するのが培養検査です。

病院に行った時に2箇所も採血されたけどなんで?って思ったことがある人いませんか。
それは血液培養といって、2箇所から採血して後々検査室で細菌が生えてこないか調べる検査なんですよ。
培養検査も血液、尿、痰など、色々あるのですがこれをしておくと、後で何の菌による感染症か、どの抗生物質が効くのかがバッチリ分かります。
 
培養検査にも弱点があり、陽性率というのがありまして、絶対検出できるというものではないのです。
培養しなくても原因菌がほぼ決まっている若い女性の膀胱炎だったり、ほとんど培養が陽性にならない皮膚の感染症(蜂窩織炎といいます)だったりにはあまり有用ではありません。
 
それ以外の大体の場合では、菌が分かることでより一層その菌にフォーカスした抗生物質に変更したり、確実に効く抗生物質に変更したり出来ます。
 
なのでいくつかの例外を除いて、基本的には抗生物質の投与前には培養検査をやることが多いです。
 

抗生物質の投与前、というのが重要

この検査は基本的に抗生物質投与前にしないと陽性率が下がります。
中途半端に抗生物質で治療すると、完全には治っていないけれど、培養検査で検出できるほどには菌がいない、という状態を作り出してしまいます。
 
他の病院から、抗生物質を処方していたけど状態が悪くなってきたので診てください。といって患者さんが紹介されてくる。
培養検査の結果を教えてくださいと問い合わせると、やっていませんのお返事。
挙げ句の果てにはそもそもほとんど効かないであろうセフカペンピボキシル(抗生物質について思うこと①でお話ししたお薬ですね)が投与されている。
…といったことは日常茶飯事なのですが、これ大変困ります。
 
中途半端に抗生物質を処方されているので、うちに来てから培養検査してもなかなか陽性にならないんですよ。
それならいっそ何も投与せずに紹介してきて下さいよと思ってしまいます。
 
 
そういう病院は未だにたくさんあるので、読者のみなさんも少し知識をつけていただいて、賢く病院選びをして下さいね。
 

しっかりと診察してくれる病院を見つけて下さい 

抗生物質についてのお話は一旦これで終了です。
正しく使えば大変有効なお薬ですから、飲むこと自体を心配はしなくて大丈夫ですからね。
きちんとした診療をしてくれるお医者さんに処方してもらってください。
今回の3記事を読めば、ちゃんとした抗生物質の使い方をしてくれているかなんとなくは分かるはずです。